東京高等裁判所 平成7年(行コ)55号 判決 1995年9月27日
神奈川県茅ヶ崎市松林一丁目一四番三九号
控訴人
桂秀光
神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎一丁目一番一号
被控訴人
茅ヶ崎市
右代表者市長
根本康明
右訴訟代理人弁護士
神崎正陳
右指定代理人
大隅忠次
同
臼井末廣
東京都千代田区霞が関一丁目一番一号
被控訴人
国
右代表者法務大臣
田沢智治
右指定代理人
矢澤敬幸
同
高野博
同
鈴木福夫
同
松尾正一
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 控訴人は「原判決を取り消す。被控訴人らは、各自、控訴人に対し、金一〇万円及びこれに対する平成五年一〇月七日から完済まで年五分の割合による金員の支払いをせよ。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは主文一と同旨の判決を求めた。
二 当事者の事実の主張は原判決中の事実摘示のとおりであり、証拠の関係は原審及び当審の証拠目録記載のとおりであるから、それぞれこれらを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人の請求はいずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は控訴理由に鑑み次のとおり付加するほかは、原判決の理由説示のとおりであるからこれを引用する。
控訴人は、<1> 賃金の時効期間等からいって給与の支払いをしてから二年以上経過した後に給与額の変更を容認することは違法である、<2> 勤務先の校長や教育委員会の幹部から治療のために休業しても同額の収入が保障される旨の約束があったからこれに反する給与額の変更は違法である、<3> 本件変更処分は控訴人に法律的不利益を与えている、と主張する。
しかし、茅ヶ崎市長のした本件変更処分は、控訴人の給与額の決定に何らの法的効果を及ぼすものではなく、右処分が控訴人の法的に保護すべき利益を侵害したということはできないし、同処分及びこれに対する異議申立棄却決定により控訴人に法的に保護すべき利益侵害の生ずることはあり得ないこと、また、藤沢税務署長が控訴人の源泉所得税につき何らかの課税処分をしたとの事実を認めるに至らないから、同税務署長がした控訴人の異議申立却下決定も違法とはいえないことについては原判決の説示するとおりである。
右控訴人の主張は採用の限りでない。
二 以上のとおりであるから、控訴人の本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上谷清 裁判官 田村洋三 裁判官 曽我大三郎)